下垂体前葉機能低下症や副腎不全を伴う甲状腺機能低下症(例:Schmidt症候群)といった疾患では、副腎皮質ステロイドと甲状腺ホルモンを投与する順番がとても重要です。
まず、ステロイド(例:ヒドロコルチゾン)を先に投与し、その後に甲状腺ホルモン(例:レボチロキシン)を投与します。この順番を守らないと、患者さんにとって危険な状態を引き起こすリスクがあります。
なぜ順番が大事なの?
よく使われる比喩で、ステロイドはガソリン、甲状腺ホルモンはアクセルと例えられます。
もし「ガソリン(ステロイド)がない状態でアクセル(甲状腺ホルモン)」を踏むと、代謝が急激に亢進し、副腎が対応できなくなり、副腎クリーゼを引き起こします。
これを防ぐために、最初に副腎皮質ステロイドを投与して、代謝を支える準備を整えてから、甲状腺ホルモンを補充するのです。
覚え方:「ST合剤、投与して!」
覚えづらい方はこのフレーズを使いましょう:
「ST合剤、投与して!」
- S:Steroid(ステロイド) → T:Thyroid(甲状腺ホルモン)
この順番で投与すれば、安全かつ効率的に治療を進めることができます!
実践のポイント
- 副腎不全が疑われる場合は、まずステロイドを投与!
(ヒドロコルチゾン:100mg静注など) - 患者さんの状態が安定したら、甲状腺ホルモンを追加して代謝を整える。
この覚え方や治療のポイントは、特に医療現場で役立つものです。「ST合剤、投与して!」をぜひ活用してみてください!