【詩】遊戯、そして目覚め

佇む椅子に腰かけると

海水が肺の奥へと滑り込む

舌の上を転がる苦味は予想したより甘く

快楽的な涙が頬を伝う

骨身と化したシーラカンスは

それでもなお、歩みを進めた

ラヴェルの音色と共に

不意に墨を吐くものが

遮られた視界のなかで肌だけがぬめりを感じ取る

タクシー止まって

彼のためにも

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kiyuhara tomokata