ミツケル を ミル

カラスが啄む卵の欠片に

しんしんと降りかかる雪を見つける。

夜の孤独を照らした彼ら。

今更に、孤独を孤独と見つける。

地獄の花の心の青に

溶け合う岸辺の赤を見つける。

過ぎゆく汚れを哀しむ彼ら。

今更に、汚れを汚れと見つける。

ネオンの光へ佇む彼女に

翳りを注ぐ沼を見つける。

肉の弾みを恐れる彼女。

今更に腐敗を腐敗と見つける。

聾唖が舐めた毒の甘味に

こだまする倦怠の香りを見つける。

渇いた美への執着心。

今、更にもがく。   ーミツケルはワタシ。

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kiyuhara tomokata