10:43

夜10時43分。屋根を叩く雨音にバラエティー番組の笑い声が共鳴した。ぽわりと瞼を開け、PCを落とす。見上げると、窓越しに月が見えた。限りなく満月だった。電線に阻まれて完全には分からないが満月だった。あの絵描きのような満月だった。

手元の地図を辺り一面の雨雲が覆う。窓辺に降り注ぐは湿っぽい月光の囁き。月明かりが太陽の反射ならば、雨雫は空の奥底が凝縮したのだろうか。

星々の燦きが数多の雫を織りなす。地球は彼らのヴェールに覆われては、太陽の周りを廻っている。夜空に佇む太陽の破片に、照らし出される宇宙の孤独に、アーメン。

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kiyuhara tomokata